あなたも「LGBTの周囲の人」のひとり。映画「カランコエの花」を観て思ったこと。

今、LGBTの周囲の人を描いた、映画「カランコエの花」が話題になっています。


今旬な今田美桜さんが主演なのと、LGBTとタイムリーな題材とが注目を集め、各メディアにも取り上げられたり、自主制作にもかかわらず、劇場での追加公演が相次いでいます。


私もこちらの映画を観てきた一人です。


今日は、映画の感想ではなく、私も「LGBTの周囲の人」としてのこの記事を書きたいと思います。


私が、初めて「LGBTの周囲の人」として実感したのは中学生の頃です。


小学生になる前、家の近の保育園に通っていたとき、女の子たちに混ざって遊ぶ目がくりっとした可愛らしい"よっち"という男の子が同級生にいました。

私はこの子ととても仲が良く、よくおままごとや砂団子遊びをしていて、私の5歳のお誕生日会には白い子猫のぬいぐるみをプレゼントしてくれました。


小学校に上がる頃、住む地域の関係でよっちは隣の小学校になってしまいましたが、近所でたまに見かけたりしていました。

その時もよっちはいつも女の子たちと遊んでいました。


中学に上がり、よっちも同じ地域のはずなので名前を探しましたが、どこにも名前は見当たりませんでした。

友達に聞くところによると私立の中学校に通うようになったようです。

私は、時間が経ってしまったけれど元気にしているかな、また会いたいなと思っていました。

小学校でよっちとご近所さんで仲の良かった女の子が同級生でいたのですが、女子トイレで手を洗っているときにたまたま隣り合わせになったので、あの子は元気にしてるかな?また会いたいな、と話しかけてみました。


するとその子は、

「えー、私も全然会ってないからわかんないなあ。

だって女の子みたいで気持ち悪いし!」

こう返事をしました。


その時、私は胸がズキッとしたような、ゾッとしたような衝撃を覚えました。

その子の悪意のない天真爛漫さと、並べられた言葉の残酷さ、自分が聞いたことの少しの恥ずかしさとが混ざったよくわからない感情が私を襲ったのだと思います。


それからというものの、よっちが今何をしているのか、どうしているのか、誰にも聞けないままになってしまいました。

今だにどこで何をしているのか知りません。


あの時、私は何もできなかったし、何もしなかったのですが、私はよっちのことを気持ち悪いと感じたことは確かになかった気がします。

だったら、勇気を出してほかの人にも居場所をきいて友達になっていればよかったなと今になって思うのです。


今、私の会社には三人くらいゲイと呼ばれる同性愛者がいます。

ファッションに近しい業界では沢山いるので特に誰も気にしていないです。

実際、私が会社でよくランチに行く一人はその三人のうちのひとりで、恋バナも沢山します。

彼からは、チャーミングな外国人の彼氏の自慢みたいな不満をよく聞かされています。


男性は狩をするオスという本能から、ゲイが気持ち悪いと思うこともあるのかもしれません。

でも、本能だけでなく知識によって学習できるのが人間の特権だと思うのです。

そういう人もいる、そういう人もいて当たり前という知識をもてば、理性を越えて自分をコントロールすることができるのではないでしょうか?


差別的な行為が減って、当たり前に思う人が増えれば、これは常識へと変わります。


少し話は変わりますが、、

昔、とはいってもほんの20年前。

漫画を読めばオタクと言われた時代がありました。

漫画は頭が悪くなる、電車男と同じ、とオタ

漫画が好きな奴はイケてない奴だと見られる、そんな風潮が強かったと思います。

かくいう私も小さい頃から漫画が大好きでしたが、頭が悪くなるからと両親は毛嫌いしていましたし、中学生の頃にイケてないダサい奴だと思われたくなくて、漫画好きを公言することを辞めてしまいました。


けれど、そんな風潮もあるきっかけを境に世の中の見方がどんどん変わっていきました。

きっかけは電車男の大ヒットだと思いますが、オタクがフィーチャーされたこの出来事に当時の私はとても感動したのを覚えています。

今や、オタクカルチャーは完全に市民権を獲得しました。

ワンピースの興行収入や、コミケの動員数を見れば一目瞭然だと思います。

もはや、漫画カルチャーは日本の誇らしいカルチャーとなり得ました。


AKBだってそうです。

始めの頃はファンと握手をすることで人気を得る、とんでもないアイドルとしてしかニュースにならず、オタクのためのアイドル、気持ち悪いという見方をする人も多かったはずです。


ですが、今となっては紅白やバラエティには欠かせない、テレビで見ない日はない国民的アイドルとなりました。


これらのように、その時の「当たり前」は簡単に変えられるのです。


理解ある人の数が、この「当たり前」を変えていきます。


この映画を観て、何かを思ったひとは、この「当たり前」を変えていく人の一人になってほしいと思っています。


あの時の"よっち"が生きやすい世の中を目指して。

皆さんに是非観てみていただきたい映画です。


カランコエの花 オフィシャルサイト

https://kalanchoe-no-hana.com/